― 新築10年以内なら「瑕疵保険」で雨漏り補修が可能です ―

■ 「建てた工務店がなくなってしまった」…そんな相談が増えています
「まだ新築から数年しか経っていないのに、雨漏りがしてきた。」
「でも、建てた工務店が倒産していて、どこに相談すればいいかわからない…。」
実際、私のもとにもこのような相談が少なくありません。
しかも、多くの方が「もうどうにもならない」と思い込み、泣き寝入りしてしまっているのです。
けれども、実はちゃんと“救済の仕組み”があります。
それが、「住宅瑕疵(かし)担保責任保険」です。
■ 「瑕疵保険」とは? 簡単に言うと“住宅の10年保証”
新築住宅を建てる際、工務店やハウスメーカーは「住宅瑕疵担保履行法」に基づき、
必ず瑕疵保険(かしほけん)に加入しなければなりません。
これは、住宅の「構造上重要な部分」や「雨水の浸入を防ぐ部分」に欠陥が見つかったとき、
引き渡しから10年間、補修費を保険でカバーする制度です。
つまり──
✅ 工務店が倒産していても
✅ 引渡しから10年以内なら
✅ 保険法人に直接請求できる
という、住宅オーナーを守るための仕組みなのです。
■ 対象となるのは“構造”と“雨漏り”
瑕疵保険の対象は、主にこの2つです。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 構造耐力上主要な部分 | 基礎・柱・梁・床・屋根・耐力壁など |
| 雨水の浸入を防止する部分 | 屋根・外壁・防水層・サッシまわりなど |
このうち「雨漏り」はまさに典型的な対象です。
施工不良が原因で雨水が建物内に浸入していると確認できれば、
保険金で修理費をまかなうことができます。
■ 倒産していても、保険は“生きている”
意外と知られていませんが、
工務店が倒産しても、保険自体は消えません。
なぜなら、保険の契約者は工務店でも、
その恩恵を受けるのは施主(家の所有者)だからです。
代表的な保険法人としては、
- 住宅保証機構(まもりすまい保険)
- 日本住宅保証検査機構(JIO)
- ハウスプラス住宅保証
- 住宅あんしん保証
- ハウスジーメン
などがあります。
■ 保険を使うには“原因特定”が鍵
瑕疵保険を使うには、
「雨漏りが施工不良によるもの」だと証明しなければなりません。
このときに役立つのが、第三者による調査報告書です。
赤外線サーモグラフィと紫外線調査液を併用して、
非破壊で雨漏りの浸入口を特定する専門の調査会社や協会があります。
- 🔹 赤外線サーモグラフィ:屋内の温度分布から湿潤箇所を検出
- 🔹 紫外線調査液:屋外から水を流して、紫外線で浸入口を可視化
この2つを組み合わせることで、
「どこから入った水が」「どのように室内へ出てきたのか」を
科学的に立証することができます。
(※紫外線調査液は“水の入り口と漏れた箇所を紐づける”ことが目的で、途中経路を全て見えるわけではありません)
■ 実際の流れ(工務店が倒産している場合)
1️⃣ 保険証券を確認する
新築引渡し時に「まもりすまい保険」などの証券を受け取っているはずです。
引渡しから10年以内なら、まだ保険が有効な可能性があります。
2️⃣ 保険法人に連絡する
証券に書かれている窓口に「工務店が倒産している」ことと「雨漏りがある」ことを伝えます。
その上で、申請の流れや必要書類を確認しましょう。
3️⃣ 原因調査を依頼する
赤外線や紫外線による非破壊調査を行い、原因を明らかにします。
ただし、保証会社から正式に依頼が出ていない場合は、
施主が一時的に調査費を負担することになります。
また、調査結果が「雨漏りではなかった」「経年劣化だった」場合には、
保険金の支払い対象外になることもあります。
ですので、まずは保険法人に相談してから調査を行うのが確実です。
4️⃣ 原因が施工不良なら、保険で補修費が支払われる
保険法人が認めれば、修理業者を派遣するか、補修費を直接支払ってくれます。
■ まずやるべき3ステップ
✅ 1. 引渡し日を確認する(10年以内か?)
✅ 2. 保険証券を探す(工務店名と保証会社名をチェック)
✅ 3. すぐに保証会社へ相談する(自己判断で修理しない)
この順番で動けば、泣き寝入りせずに済みます。
■ よくある誤解:「火災保険で雨漏りは直せないの?」
結論から言うと、
火災保険は「台風や自然災害」での破損に対応するもので、
施工ミスによる雨漏りは対象外です。
つまり:
- 施工不良 → 瑕疵保険
- 災害被害 → 火災保険
この2つを正しく使い分けることが重要です。
■ 専門家として伝えたいこと
私はこれまで、全国各地で雨漏り調査をしてきました。
驚くことに、「保険が使えるのを知らなかった」という方が本当に多い。
せっかくの制度があっても、
知っていなければ“泣き寝入り”になってしまいます。
そしてもうひとつ大事なのは、
「どこから水が入ったか」よりも「なぜそこから入ったか」を見抜くこと。
これを誤ると、一時的に直しても再発してしまいます。
だからこそ、赤外線と紫外線を使った非破壊調査が役立つのです。
■ まとめ
- 工務店が倒産しても、10年以内なら保険は有効
- 保険を使うには「施工不良の証拠」が必要
- 調査は赤外線+紫外線で“非破壊・科学的”に
- まずは保証会社に相談し、泣き寝入りしない行動を
🗝️ 最後に
もし今、雨漏りで困っていて、
「どこに頼めばいいかわからない」「工務店がないから不安」という方へ。
大丈夫です。
家を守る仕組みはちゃんと用意されています。
瑕疵保険が有効であれば、保険で直せます。
そして、仮に保険対象外でも、原因を特定すれば再発を防げます。
雨漏りは「放置すれば家の寿命を縮める」もの。
早めに第三者の立場の専門家か保証会社へ相談してください。

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